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Knots & Origins

結び目(ノット)の種類と
産地による織りの違い

トルコ、イラン、中央アジア(トルクメニスタン、ウズベキスタン)、そして新疆(東トルキスタン)は、いずれも東洋絨毯の文化圏に属しますが、結び方・文様・素材は産地ごとに大きく異なります。その違いを生む最も基本的な要素が、パイルを織り込む際の「結び目(ノット)」の種類です。手織り絨毯の結び目は、大きく二つの体系に分けられます。

対称結びTurkish / Ghiordes
非対称結びPersian / Senneh

トルコ結び(対称結び/ギョルデス結び)

毛糸を隣り合う二本の経糸(たていと)に左右対称に巻きつけ、両端を二本の間から引き出す結び方で、ギョルデス結び(Ghiordes Knot)、対称結び(Symmetrical Knot)とも呼ばれます。主にトルコ・アナトリア地方、そしてコーカサス地方で用いられます。結び目が頑丈でパイルが抜けにくく、耐久性に優れる一方、直線的・幾何学的な文様の表現に適しています。トルコ絨毯に八角星や幾何学的なトーテム、部族文様が多く見られるのはこのためです。

ペルシャ結び(非対称結び/セネ結び)

毛糸を一本の経糸に完全に巻きつけ、もう一本の経糸の背後を通す結び方で、セネ結び(Senneh Knot)、非対称結び(Asymmetrical Knot)とも呼ばれます。イランを中心に、中央アジア、アフガニスタン、中国など広い地域で用いられます。結び目を細かく密に打ち込めるためノット数を高くでき、曲線的で繊細な意匠や具象的な絵柄の表現に向きます。高級なペルシャ絨毯に庭園図・狩猟図・宮廷文様・人物画といった精緻な図柄が多いのは、この結び方によるものです。

なお、「セネ結び」という呼称は慣習的なもので、産地を示すものではありません。実際にはセネ(サナンダージ)の町で織られる絨毯の多くは対称結びが用いられており、名称はあくまで結び方の通称としてご理解ください。

産地ごとの織りの特徴

トルコ/アナトリア
対称結びを基本とし、八角星や幾何学文様、部族文様を得意とします。
イラン(ペルシャ)
非対称結びを基本とし、極めて高いノット数による緻密で曲線的な意匠——庭園図・狩猟図・宮廷文様——を特徴とします。
トルクメン(中央アジア)
トルクメニスタン、アフガニスタン北部、ウズベキスタンの一部に広がる伝統。テッケ、サロール、ヨムート、エルサリなど主要部族の多くは非対称結び(ペルシャ系)で織られます(サリックのように対称結びの部族も)。「グル(gül)」と呼ばれる連続する八角形・菱形の紋章が代表的で、深い赤を基調とします。市場で「ブハラ絨毯」「アフガン絨毯」と呼ばれる多くはこの系譜です。
コーカサス
アゼルバイジャン・アルメニア・ジョージア。対称結びの体系で、強い幾何学文様と鮮やかな色彩を特徴とします。
新疆(ウイグル)
ペルシャ・中央アジア・中国の絹文化の影響を受けた融合型。非対称・対称の両方が用いられます。代表的産地は和田(ホータン)、喀什(カシュガル)、莎車(ヤルカンド)。

和田(ホータン)絨毯の特色

和田は、タリム盆地の南縁、シルクロード南道に位置する古都です。東西交易の要衝として、ペルシャの精緻な織りの技術、テュルク系の幾何学的な美意識、そして中国の絹文化が交わる土地でした。この交差点という立地が、和田絨毯独自の性格を生んでいます。

意匠は、ザクロ文やバダム(アーモンド/ボテ)文、三つの円形メダリオンといった独特の母題を持ち、イラン絨毯ほど複雑ではなく、トルクメン絨毯ほど単一でもない、中間的・融合的な様式を成します。古い名品には絹(シルク)や、まれに金属糸が用いられ、草木・鉱物による天然染料で染められます。また、僧侶が並んで座るために織られた歴史から、細長い形(ランナー)が多く見られるのも特徴です。

流通の場では、和田・喀什・莎車を一括して「東トルキスタン絨毯」と呼び、また「サマルカンド絨毯」と総称することがあります。サマルカンドは交易・輸出の集散地であって、産地そのものではない点にご留意ください。

絨毯の質を見るうえで重視されるのは面積ではなく、結び目の密度(ノット数)、ウールや絹の質、天然染料か否か、製造年代、そして産地です。和田絨毯は、これらの点においてシルクロードの歴史と複数文化の融合を体現する、独自の地位を持つ絨毯といえます。

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